イケメンなんか大嫌い
水曜日の午前中が終わろうかという頃、堂島くんが向かいに並んだディスプレイの間から顔を覗かせ、ひそひそとわたしに囁いた。
「香坂さん聞きましたぁ? 市川さん、担当変わっちゃうって」
「……あぁ……なんかそうらしいね……」
力なく微笑み返すと、心底残念そうに唇を尖らせた。
「市川さんのこと信頼してたのに……。これからどうすれば……」
わたしは目を瞬いて、口元に手を添え同じように声を抑えて返した。
「……堂島くん、あの人の何処がそんなに……?」
穿った目で覗き込むように窺うと、困ったように眉を下げて笑う。
「ずいぶん信用ないんですね。幼なじみなのに可哀想だな」
愛想の良い顔から予期しなかった台詞が飛び出して、うろたえた心が出来るだけ表に現れないよう、押し込もうとする。
わたしの腹の中を知ってか知らずか、彼は苦笑いで肩をすぼめて続けた。
「……僕、坂井さん苦手なんですよね。あの人、裏で色んな担当に連絡して根回しするでしょ。信用されてないんだなって感じます。その点、市川さんはこちらに判断を任せてくれて、必要な確認はきっちり取ってくれて」