イケメンなんか大嫌い
夕暮れ時、梨花の部屋の最寄駅で待ち合わせた。
スーパーに立ち寄り、あれこれ盛り上がりながら今晩の食材やお酒を選ぶ時間は楽しい。
「鍋スープで良いよね、出来合いの」
「うん。リゾットはしたいねー」
「おつまみは」
「スモークタンは食べたい!」
炬燵を囲み、真っ赤な鍋がぐつぐつと煮えている中、缶ビールを合わせる。
「お疲れ~」
鍋からよそったトマト味のスープを啜りながら、事の顛末をひとしきり話し終えた頃、今日も華やかなアレンジヘアの彼女が1本目の缶から最後の一口を煽った。
後ろ手を床に着き、眉を下げて笑っている。
「……実はさ。私もちょっと微妙な感じでさー……。今日も尋人(ひろと)のドタキャンで、嫌な空気に……」
「えっ、梨花のとこがそういうの珍しいね……?」
ほぼ最後となった、じゃがいもやウインナーを器によそいながら振り返り、眉をしかめた。
大学時代から、もう3年付き合っている尋人くんとは、わたしも何回も会ったことがある。
「うーん。まぁ仕事って言われたら仕方ないし……って、冷静になれば笑って話せるんだけどね。なんか嫌な言い方しちゃって」
瞼を伏せ肩を竦めながら溜息を吐き出す梨花に、驚きを隠せない。
「梨花が……!?」
「……そりゃあ、私も可愛くないこと言いたくなる時もあるよ。菩薩じゃあるまいし……」