イケメンなんか大嫌い
「…………何してんの……?」
現れた人が、目を見開いて立ち尽くしている。
相手の反応も、溢れる涙も構わず、夢中で抱き着いた。
「俊弥ごめん……傷付けてごめんなさい……。誕生日、おめでとう……。」
言えた……間に合って、良かった……。
鼻を啜りつつ返事を待ったが無反応のままで、ゆっくりと怖々身体を離し、見上げた。
合わせた顔は険しく眉間を寄せていたが、真っ赤に染まっていて、驚いた。
「……覚えてたの……? ……ひでーよなぁ、お前。ずりー。ばーか」
「なによ悪口ばっかり……ううぅ」
お互いに、まるで子どものような会話を交わしながら、ボロボロと零れ落ちる涙を拭っていると、その手を取られ、頬を舐められた。
「……冷たい……いつから此処に居たの……?」
「……だって……直接会って言いたかっ」
わたしの返事を遮って、唇が重ねられた。
……俊弥だって、ずるい。
掴まれた手に力が篭められて、触れた部分から、俊弥の想いが流れ込んで来るようで
応えようと、背中をきつく抱き締め返した。
本当はあれからずっと、こうしたかった。
顔を離すと、荒い息が小さく吐き出され、頬に掛かった。
心臓の音が余りにうるさくて恥ずかしくて、高揚した顔を隠そうと目線を落とした。
「……入る? すぐ暖めるから」
鞄からキーケースを取り出すと鍵穴に差し込み、ドアを開く。
「どうぞ? 入ったら、もう逃がさないけど」
少しはにかんだような意地悪顔が、にやりと笑った。