イケメンなんか大嫌い

初めて踏み入れる部屋にどぎまぎしつつ、そっと後を付いて歩く。
エアコンとヒーターの電源を入れると、ベッドの傍らの暖色灯のスイッチを押した。

柔らかな灯りが部屋の片隅を照らす様を眺めていると、あんなに悩み連絡出来ない日々を送っていたのに、どういうわけか率直な質問が口を突いて出ていた。

「……どっか行ってたの……? 電話、出なかった……」

振り返ると、ベッドにジャケットを放り投げどかりと腰掛けた人が、面白くなさそうに唇を尖らせる。

「……立ち呑みでヤケ酒? 誰かさんはつれないし。そしたら津村が覚えてて連絡くれて、合流して飲んでた。結構電話してたから電池切れたけど。もう俺、津村と付き合おうかと思ったわ」

口の端を上げて冗談っぽく肩を竦めるけれど、わたしは本気で反論した。

「やめてよ、やだよ!」
「……冗談に決まってんだろ……」

どういうわけか涙が後から溢れて止まらず、突っ立ったままのわたしの手首を取ると、引き寄せた。

「……いつまで泣いてんの……」
「……だって……もう駄目なのかと思った……」

「どうしちゃったの? いつになく健気だな、おい」

引っ張られて、俊弥の脚の間に立つ格好になっている。
整った焦れたような顔が見上げて来て、何だかすごくドキドキしてしまった。

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