イケメンなんか大嫌い

何の用意もおしゃれもしていなかったので、いつものカフェで待ち合わせる約束をして、一旦家へ帰った。
今日はふわふわのニットにポンチョ風のショート丈コート、子供っぽくならないように落ち着いた花柄のフレアスカートを合わせ、頑張って甘めのコーディネイトにしてみた。

店の扉を潜ると、既に席に着いていた俊弥が手を挙げる。
シャツに洒落たチェックのカーディガン、スラックスに革靴という綺麗めの出で立ちで長い脚を組んでいて、やはり目を引いた。

ランチを取り店を出ると、誰も居ない路地で腰を引き寄せられた。

「……それ、可愛い」

前を向いたままで目線すら合わなかったが、その照れくさそうな横顔に胸を打たれた。
先日のデートでも俊弥は感想をくれたのに、何も言えなかった自分を省みる。

「……俊弥も……似合ってるよ。お洒落だね」

視線を落とし胸元で手を握って、勇気を振り絞り告げると、触れた部分に僅かに力が篭った。
実は『かっこいい』と脳内に浮かべた感想は、小っ恥ずかしくて口に出せず、次は頑張ろうと決意した。

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