イケメンなんか大嫌い
もう行かないと決めていたはずのカフェに、どういうわけか俊弥と向かい合って座っている。
よくわからない状況に益々頭が追い付かず、混乱しながらも額に手を充てがい、脳内の整理を試みる。
えーと……? 要は、坂井さんの粗相に対してお詫びする為に、わたしのお母さんに住所を聞いて、家の前で待ってたと……?
……いやいや、意味わかんないから。
心の中で突っ込みつつ、正面の人を訝しい目で窺い見たが、疑問を持っているのはわたしだけらしくマイペースにメニューを繰っている。
手を止めたかと思うと、ドリンクメニューをわたしの前に広げて見せた。
「飲めよ」
「……飲まないし、月曜から」
「1杯くらい平気だろ」
「……と、いうか……」
口元に手を添え、僅かに逡巡してから目を逸らし答えた。
「彼に悪いから飲まない」
「……あ、そ」
頭頂部に鋭い視線が刺さったかのように感じられたが、わたしの視線はと言うとテーブルに落とされていて、合わさることはなかった。
というより、何となしに気まずくて、合わせないようにしていた。
何故か断れずに付いて来てしまったが、他の男と食事なんてそれだけでも良くないと思うのに、お酒なんて飲めるものか。
ましてや、相手が俊弥だなんて──
上目遣いで再度その顔を見遣ったが、やはりわたしの態度など一向に意に介さないような涼しい面立ちだった。