イケメンなんか大嫌い

……大体こいつ、なんであそこまで言われた後でこんな飄々としてるんだろ。
わたしの方が逆に、動転して萎縮してしまっているように思えた。

「……オムライス、食うだろ?」
「え……うん」

頭上から響いた声に顔を上げると、視線はメニューに落されたままだったが、これまでの様な意地悪さは感じられなかった。

……もしかして、わたしの好物を未だに覚えて……?

「他は? オニオンリング?」
「……」

次々と好きな食べ物を言い当てられて、目を見開いてしまう。
オニオンリングも、子どもの頃から好きだった。

……もしかして、この“お詫び”って……。
坂井さんがどうとかは建前で、この間の発言についてのお詫びなんじゃ……。

「……好きじゃなかったっけ?」

黙っているわたしに返事を促すように、伏せられていた長い睫毛の奥の瞳が覗き、目が合った。
瞬間、心臓が高鳴ったのがわかった。

……ない。そんなわけ……。
小さく頷き思い巡らせながらも、心音が止まずに響き続けている胸元で、掌を握り締める。
吸い込まれそうに目を離せないでいると、唇が僅かに弧を描いた。

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