イケメンなんか大嫌い

……笑った……?
ほんの一瞬だったけれど、何年ぶりだかわからない、作為を感じない微笑みが目に映った。

俊弥が店員にオーダーを伝えている間、目を盗んで深呼吸を小さく吐き出した。

……わたしは頭がおかしいのかもしれない。
先日の一言にあんなに傷付き歯を食い縛っていたのに、今日は浮き立ちそうな高揚感を抑えるべく、唇を結んでいる。
こんなのまるで──……

辿り着いた憶測に、我ながら怯んだ。
そして、目に触れない場所へ仕舞い込もうと心を割く。

「……何?」

じっとりと視線を送ったわたしに、目で問い掛け返して来た俊弥の顔は元の仏頂面に戻っていたが、心なしか僅かにはにかんだような表情に見て取れた。
わたしは黙って首を横に振る。
顔が熱を帯びた気がして心配だった。


「なぁ」

運ばれて来たノンアルコールカクテルで喉を潤し、グラスに触れて少しばかり冷えた手を頬に充てがう。
息をつくも束の間、俊弥が肘掛に頬杖をつきながら妨げた。

「此処で同窓会しよ」

突拍子もない提案に、目を丸くする。
俊弥の頼んだカクテルの泡の弾ける様が、視界にちらついた。

「……すれば?」
「……お前が女子の幹事って言ってんだよ」

笑顔で受け流そうとしたが、そう易々とは流されてくれそうにもない。

「やだよっ」
「愛唯帰って来るらしいじゃん」

被せるように口に出された名前を耳に入れた途端、鼓動が速度を付ける。

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