イケメンなんか大嫌い

同窓会の日時が決まり一段落着いた5日目、やっとのことで賢司くんに連絡を入れた。

『この間は本当にごめんなさい。今度いつ休みかな? 埋め合わせさせて下さい。』

散々悩んだ割に淡白な文章だけれど、スタンプを付けて申し訳なさを表現する。

夕方の仕事終わりに送ったメッセージの返信が来たのは、翌朝だった。

『おはよう。気にしてないから、埋め合わせなんて大丈夫だよ。ただ最近仕事が立て込んでて疲れ果ててるから、日はまた連絡するね。』

「……」

朝の忙しない駅のホームで、返信の画面を見つめ暫し固まる。
入って来た電車が巻き起こした風に吹かれて、進行方向へと髪が靡いた。

……仕事が立て込んでるなんて、本当?

嫌な不安感に苛まれそうで、右手で左腕を握った。
2年付き合って来て、初めての彼を見た気がした。

溜息と共に流れた冷や汗を感じ取ったが、此処はまず彼に対する思い遣りを見せる場面だろうと、何処かで冷静に判断している。

『仕事頑張ってるんだね。無理せず休める時はゆっくりしてね。』

送信ボタンを押す手元を瞳に映しながら、目付きは虚ろだった。
確信は持てないけれど……変な流れに入って、空気が澱んでいるような感覚に囚われている──

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