イケメンなんか大嫌い

「多崎(たざき)? ずいぶん雰囲気変わったな」
「ナベくん。成人式からまたかっこよくなったんじゃない?」

ナベくんと一緒に居る男子達が興味深そうに話し掛けると、また満面の笑みを浮かべた。
背の高いナベくんが、150センチくらいしかない愛唯ちゃんを見下ろしている。
わたしも元々背が低い方でもないのに今日はヒールを履いているから、抱き締められた時の愛唯ちゃんのか弱い雰囲気に、同じ女ながらどきりとしてしまった。

「お世辞は良いから。昔はもっと女の子っぽい格好だった気がするけど」
「あー、あたし勧められると何でも試したくなっちゃうんだよね! 小学校の頃とかママとお姉ちゃんの着せ替え人形だったんだよ」

「へぇ。その服装は、誰かの趣味?」
「……彼氏の」

はにかみながら答えた。

「まじか! やっぱり!?」

ざわつき始めた男子達の背後から、思わず興味本位で割り入ろうと試みる。
一応口元に掌を添えて耳打ちした。

「ねぇねぇ、一緒に旅行来てるのって……」
「うん、彼だよ。日本の紅葉見たいって言うから、親に挨拶も兼ねて」

「うわ~本当に海外に住んでんだ! 何処だっけ?」
「カナダ」

「あ、それで紅葉?」

男子と一緒に盛り上がっていると、パンと掌を鳴らす音が響いた。

「盛り上がってるとこ悪いけど、時間なんで先に乾杯しまーす」

俊弥が真顔で言い放ち、幹事なのにまとめる気ゼロのわたしを軽く睨んだ後、皆に向けて笑顔を作った。

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