イケメンなんか大嫌い
「山形く……じゃなかった、市川くんが彼女居ない意味わからないんだけど」
希英ちゃんがライムサワーを両手で抱えながら、率直に疑問をぶつけた。
俊弥が視線を投げ返すと彼女は続けた。
「いつから居ないの?」
「……半年か、もうちょい前くらいかな」
「へぇ、別れたって知ったら女子が放っとかなさそうだけど」
「そんなん、面倒臭いから言ってねぇもん」
俊弥が飄々と言ってのけると、男子達がざわめいた。
「体の良い女避けってわけ? 酷ぇな、おまえ。彼女要らないって?」
「……」
口を噤んだ奴の、真意は表情からは読み取れない。
「……好きな子が居るんじゃないの?」
愛唯ちゃんの印象的な一言が、場を静まり返らせる。
「……あぁ。好きな奴は、居るよ」
少し間を置いて淡々と返事を口にした俊弥の視線は、愛唯ちゃんを擦り抜けてわたしの方へと向かって来た。
なんで
心に疑問が浮かんで数秒、見つめ合う格好となったが、大きな瞳に飲み込まれそうで合わせていられずに逸らした。
「え! 市川くんが片想いってこと!? 誰よその贅沢な女は」
希英ちゃんの素っ頓狂な声が、くぐもったように遠のいて響く。
心臓が痺れて熱を持っている感覚は、高鳴っているのか痛んでいるのか、判別が付かない。
どうしよう。嫌だ、この空気。