イケメンなんか大嫌い
「あんな風に泣くようなこともなかったし、もしかしたら俺の知らない未麻ちゃんが居るんじゃないかって、俺は何も知らないんじゃないかって、思った。……本当は、どうして泣いたの? あの時」
両手を重ね握り直した、暖かい掌から賢司くんの想いが伝わって来るようだった。
──もう、誤魔化せない。
心を繋げようと懸命に注がれる、真っ直ぐな視線に、ひるんでしまった。
後退りでもしてしまいそうな程に。
どうしたら良いんだろう。どうするのが正解なの?わからない。
「……あ、あの……」
躊躇いながら言葉を探そうとするわたしの、空いた方の手は所在なげにスカートを握った。
賢司くんは黙ったまま、わたしの口から続きが紡がれるのを待っている。
「……わたし………」
居たたまれずに僅かに目を逸らした、その一瞬に絡められた手の力が、やっと気付くかどうかという程度に強まった。
目線を戻すと、にわかに瞳に焦りの色。
ピンポーン……
その時、来客を告げるチャイムが鳴り響いた。