イケメンなんか大嫌い
ドアを振り返り、訝しい表情を浮かべた。
時計に目をやると、10時を幾らか過ぎている。
宅配便が来るような時間でもないし、平日のこんな遅くに連絡もなく突然訪ねて来るような友人も居ない。
「……誰だろ……」
苦笑いで賢司くんの手を解き、光を放ったインターホンの画面に導かれ近付いた。
「…………」
その人物を確認し、画面を覗き込んだ姿勢のままで、固まってしまう。
……なんで?
「……男?」
背後から届いた声に、心臓が跳ね肩を震わせた。
いつの間にかすぐ後ろに賢司くんが立っていて、眉間を寄せている。
「……知り合い?」
「……えっと……」
顔を青くして指先を口元で彷徨わせながら、何と答えれば良いのかわからず言葉を失う。
「知らない奴なの? 俺が出ようか?」
廊下を踏み出そうとした賢司くんを、すかさず前に回り込み止めに入った。
「あっ……知り合い……なんだ一応っ! ……わたしが出る」
目を見開いたまま脂汗をかいている自分を感じ取った。
床を踏み締める足は震えそうで、心音が轟き余りにうるさい。
意を決してドアノブを回した。