イケメンなんか大嫌い

「……何って……会いに来たけど」

俊弥は平然と言ってのけ、賢司くんを見据えた。

「彼氏と鉢合わせるとは思ってなかったけどな」

耳を疑い、目を見開いたまま立ち尽くす。

……ちょっと待ってよ……。
そんな言い方
まるで、わたしが浮気してたみたいに

拳を強く握り締め過ぎて、痛いのは爪が食い込んだ掌なのか、心なのか。
怖くて賢司くんを振り返ることが出来ず、俯く。


油断したつもりはなかった。

首の後ろにひやりと指先が触れ、力が篭もり引き寄せられたと気付いた時には、もう遅い。
目の前に、ぞっとするような綺麗な顔。
その瞳が伏せられ、映り込む長い睫毛と、唇に柔らかな感触を把握した。

何が起こったのか認識するまで、何秒掛かったのかわからない。

わたし今、キス、されてる

なんで、嫌だ
賢司くんが、見てる

視界の端を掠めた眉を顰めた表情から、取り巻かれる現実から、目を背けたくて景色がぐにゃりと曲がって見えた。

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