イケメンなんか大嫌い
「……うん……。何か、もう良いかな……」
駆け寄り腕に縋り付いたわたしに対し、体に触れることも、目を合わせることもせず、突っ立ったまま薄ら笑いすら浮かべる彼に途端青ざめる。
「ちが……っ。賢司くん、わたしこの人とは別に」
「……もう、そこもどっちでも良い」
初めて聞く、静かながら厳しいはっきりとした口調に、圧倒され動けない。
瞼を伏せ、そっとわたしの手を腕から引き離した。
「……君が、そんな風にムキになって取り乱す所、初めて見た」
賢司くんの台詞に、驚いて言葉を失った。
「俺達は、ただの他人だったみたいだ。さよなら、未麻ちゃん」
最後に一度だけ合わさった目は、諦めを滲ませた、暗い瞳だった。
茫然と立ち尽くすわたしの横を擦り抜け、淡々と上着と鞄を身に付けて部屋から立ち去った。
あまりに突拍子もない出来事が信じられず、ずるずるとその場に座り込む。
静まり返った部屋の中に、時計の秒針の音だけが響いた。
──見限られたんだ、わたしは。
あの優しい人を傷付けて……本当のことを言われるのが、こんなに辛いなんて……。