イケメンなんか大嫌い
「だって、心は俺のもんだろ?」
胸の谷間と鎖骨の間辺りを、軽く握った拳で突かれた。
まるでその手に心臓を貫かれたようで、目を見開き硬直する。
僅かに触れただけの胸元の奥が、熱く疼いている。
力が抜け、背中が床に着き倒れてしまった。
交わった瞳が、熱を持ったことを自覚して、目を細めた。
自分の息遣いと鼓動の音だけが、静かな空間に響いているような錯覚を受ける。
この気持ちの正体が、自分でもわからない。
想いが零れてしまわないように、堪えたくて唇を噛んで顔を背けると、冷たい指先が頬に触れて来て、びくんと身体を揺らした。
横目で恐る恐る見上げると、焦がれたような瞳がわたしを見下ろしている。
「……お前ってさぁ……俺のこと好きだよな?」
告げられた瞬間、何かが熱く込み上げ、涙が溢れてしまった。
「…………っ。だっ……誰があんたなんか……っ」
表情を隠したくて顔の上に置いた腕の隙間から、僅かに嗚咽が漏れる。
「……嫌い……ほんとにきら……」
その腕を掴まれたかと思うと、瞼を伏せ慈しむように指先にそっと唇を寄せた。
口付けたままの指の関節に感じる湿っぽい息遣いと、開かれた瞼から覗いた上目遣いが刺さって、ぞくりと身体の芯が火照る。