イケメンなんか大嫌い


「……俺は、勘違いしたから来たけど?」


頭上で灯りを遮る腕の間の、揺れる瞳が近付いて来る。

「……だ……」

心音が身体をつんざくように響き、チカチカと警告の様な光が脳内を回っている。

「……め……っ」

瞬間、音が消えて、わたしの唇に覆い被さって来た俊弥の唇の感触しかわからなくなった。

「……ふっ……」

余りの衝撃に頭がくらくらして、力の抜けた隙に口内に舌が侵入して来る。


どうしよう……。
本気でやばい、こんなの……。

きつく瞑った目尻に滲んだ涙を感じた。

わたし本当に、賢司くんと終わったの……?
頭の中では思考が働いているけれど、考える猶予も与えられないまま、目を覆いたくなる眼前の現実があんまり気持ちいいから、流されたくなる。
じたばたと抵抗を試みた脚も、動きが覚束なくなって来る。

押さえられた腕に込められた力は、本気を出せば振り払える程度の優しさを残している。
だけどどういうわけか、振り払えない。

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