熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
少しの間、彼は私を見つめていた。
そして、一瞬、ためらうような
そぶりを見せて言った。
「あの時のこと、まだ怒ってるのか?
俺が仕組んで、ファイサルに
君を差し出したと思ってるんだろう?」
池山さんから話してくれた。
だから、いい機会だ。いっそのこと聞いてしまおう。
「違うんですか?」
「俺は、そんなことしてない」
「そうですか」
その話を聞いた時は、ショックだった。
好きだった人に会いに行ったのに、
その場所には違う人がいたのだ。
「大切な後輩に、そんな真似するわけない。
ずっと、誤解されたままで、苦しかった。
それに、俺は、
ファイサルに自分のことを
頼んだ覚えはない。
会社に入ったのだって、実力だ。
ファイサルの力を借りたわけじゃない」
「池山さん?」
「お願いだから、
それだけは信じてくれる?」
彼は、帰り際にもう一度、念を押した。
「だから、止めておけ。
あいつに関わると、
ろくなことになかっただろう?
今まで、何回泣かされてきたんだ?」
それは、そうだった。
池山さんの言う通り。
まぎれもない事実だった。