熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
ファイサルは、膝の上に私を座らせ、
何事もなかったみたいに
秘書を近くに呼びつけた。
何食わぬ顔で。
『数字は悪くないと思う。引き続き頼むよ』
『かしこまりました』
秘書もニコリともせず
丁寧に書類を受け取る。
私がそばにいることなんか、
見えてないみたいに振る舞っている。
秘書は、蔑むような視線を
投げつけるようなこともなく、
黙って上司がサインをした書類を受け取った。
そして彼は、アラブ人特有の太っい眉を
一ミリも1つ動かさず部屋を出て行った。
「ファイサル?私がここに居る必要、
まったくないと思うんだけど」
「どうして?美夜は、
私と離れていても平気なのか?」
「仕事中は、
仕事のこと考えた方がいいと思うわ」
「仕事のことは考えたよ。1分だけね。
でも、その後は、美夜のことだけ考える」
彼は、長い足の上に私をのせ、
有能なビジネスマンのように、
秘書が用意したリストを見て、
アラブ語で電話をかけたり、
忙しく指を動かせて文章を書いたりしている。
私を膝に置いて、器用に電話をかけている。
ひざに乗ってる私は、
すごい邪魔だと思うのだけど。
そうして、電話の合間に
逃げ出そうとする私を、しっかりと
その逞しい腕で捕まえて、胸の中におさめる。