熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~


「随分、ここで長居しちゃったね。
そろそろ出ましょうか」

私は時計をチラッと見る。

ファイサルが忙しいから、
またの機会にと言えば……
私は、このまま別れましょうと言って
さっさと帰ればいい。

それなら、害はない。

何事もなかったように
落ちついていられる。

そう言ってくれないかなと思いつつ、
彼の姿を盗み見る。


リムジンの中では、
あんなに忙しそうだったもの。

用事の一つや二つ残った仕事くらい
ありそうな気がする。

彼は、用事があるからって、
別れを切り出す急ぐ様子もない。

それどころか、急ぐ様子もなく
私が支度をするのをゆっくり見守っている。

どうしちゃったの?
忙しいんじゃなかったの?

ええっと、これからずっと暇で、
体が空いてるってことないよね?


私の心の中を見据えたように、
彼の黒い瞳が私を冷たく見ている。

「美夜先輩、今日の予定は?」

彼の方は、このまま私を帰してくれる、
つもりはないのかな。

「さっき、お客さまを見送ったところたから
会社に行くんだけど」

「会社はどこですか?送っていきますよ」

送っていく?
どうしてそこまでするの?

「いえ。それは……」まずいです。

「どうしてです?
お仕事が終わるまで、お待ちしますよ。
たいした手間じゃありません。
せっかく会えたんですから」

あくまでも、話がしたいわけね。
分かりました。

降参です。
結局、思い通りにするんだから。

「いいのよ。会社へは月曜日に行けばいいから」

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