熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「そのくらいでいいだろう」
冷ややかな声。
こういう時は、結構、怒ってる時の声だ。
白い布がひらひらしていた。
アラブの民族衣装を着た男が、
ゆっくりとこっちに向かって近づいてくる。
「池山、手を離せ」
「ファイサル……何でここに」
「私がビジャールに帰ってると思って、
今なら口説き落とせると思ったのか?」
「ファイサル?」
彼は、カンドゥーラと言われる
白い長いワンピースみたいな服に、
グドラというスカーフではなく、
頭には、ターバンを海賊巻きにしている。
いきなり、白装束のアラブ人が現れて、
人の流れが私たちを避けるようになっている。
「池山、美夜の手を離せ」
有無を言わせない、
威圧的なものの言い方。
子供のころから、
人に命令することが日常だった人。
「美夜、行くよ」
彼は、当たり前のように私に近づくと、
すっと手を取ってキスをした。
こうやって、
相手を圧倒させてしまうのだ。
池山さんが悪いんじゃない。
アラブのシークに勝てるわけないのだ。
相手が悪すぎる。
そのまま私の手を引くと、
あっという間に彼の腕の中に吸い込まれていく。
「この人は、私のものだ。
君のものではない」
ファイサルは、当たり前のように言う。
「美夜?」
「はい」
「何でもいいから、
早く建物の中に入ろう。この衣装は寒すぎる」