熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~

ファイサルは、
王様のようにオーラ―を放って
商業施設の中を悠然と歩いて行く。

彼は、何もしない。

何もしないのに、
難なく周囲の人の視線を集めている。

人に注目されるのは、慣れているのか、

ファイサルは人に見られても気にしない。

彼の姿を見て、興味を引かれるのか、
買い物客が物珍しそうに足を止めて見ている。

彼が近づいていくと、
今度は近寄ってきた人たちが、

一定の距離を保つために次々に道をあけてくれる。

彼は、突然後を振り返って、
私に手を差し出してきた。

「手をつなぐの?」

「抱きかかえた方がいいかい?」

「それは、ちょっと恥ずかしい」

ファイサルは、
控えめに出した私の手をとって、
ぐいっと引っ張った。

「美夜、あんなところで、何してたんです?」
はっきり聞き取りにくいこもった声だった。

言い淀んだというよりは、
緊張してるのだろうか?

握られた手に力が込められている。

何してたのかっていうのは、
池山さんといたこと?

そのことに対する説明は、簡単ではない。

私は、
差し障りのない言い方をする。

「夜風に当たってたのよ。ファイサル」
ぎゅっと手に力が入った。

怖すぎる。


まだ、コラって怒られた方がいい。

ファイサルは、滅多に不安だとか、
緊張してるという姿を人に見せたりしない。

何かあったのだろうか?

彼がカンドゥーラを着ているのも珍しい。

「浮かない顔してどうしたんですか?
もっと風に当たっていたかったんですか?」

不機嫌そうに言う。
まあ、確かに。
よりによって池山さんといるときに
現れなくてもいいのに。

でも、浮かない顔に見えるのは、
あなたのその姿のせいだと思う。

「そうじゃないの。あなたが、
その衣装を着てると別の人みたいで」

やっぱり、何かあったのだろうか?
と思ってしまうから。
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