熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~

「これですか?」
彼は、立ち止まった。

なんだ、というように
衣装を見せるために両手を広げる。

「とてもよく似合ってるわ」

ただでさえ、長身の彼が、
頭にターバンを巻いて異国情緒たっぷりの
愁いを帯びた眼差しでじっと見つめてくる。

「そうですか?」
「突然現れた、シンドバッドみたいだわ」

シンドバットに手を引かれてるみたいで、
どこかおとぎ話の中にいるみたい。

「カンドゥーラは
ビジャール国の正式な衣装です。

今日は着替える間もなくビジャールから直接、
あなたを迎えるためにここに来ました」

「やっぱりビジャールに帰っていたの?」
「はい。どうしても
帰らなければならない理由があってね」

私は、彼が答えるのを待って、
黒い瞳を見つめていた。

「美夜……
そんなに見ないでください。
もう、部屋につくまで我慢しようと思ったのに」

彼がすっと私の体を引き寄せ、
胸の中におさめる。

ちょうど彼が止まった位置が、
雑貨店の前だった。

数人の女性客がこっちを見ている。

アラブの民族衣装を着た男性が、
何を始めるのかと思って立ち止まったのだろう。

「美夜、愛してるよ」
彼は、大げさに日本語で言うと、
軽く唇にキスをした。

ファイサルは、
彼を見ていた女性と目が合うと、

「habibti」
と声をかけてその子にウィンクした。

「キャー」と周りから短い歓声が上がった。



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