熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「そうよ。どうして6年もかかったの?
傷が癒えたらすぐに迎えに来てくれればよかったのに」

ファイサルは、少し考えてから言った。

「国の状態が、
落ちつかなかったんだ。

父が国王になったものの、
不満を持つ勢力の力も強かったからね。
いつどうなるか分からなかったんだ」

「王政に反対してる勢力が、
強かったって聞いたわ」

「うん。伝統的に、
部族の長であるシークが、
それぞれの部族を束ねて来たからね。

全部をまとめるのは難しいんだ。

父は、理想的になりがちだったのを、
私が裏で現実的な取引をした。

それに、外国との取引も。

仕事が山積みだった。

どれも時間がかかって、
途中で放り投げられなかった。

逃げ出すこともできなかったし、
迎えに行くこともできなかった」

「大変だったのね」

「部族の有力者から、
自分の娘を妻にしろっていう圧力には、頑固に反対してきた。
私には、もう妻がいるとね」

「ファイサル」

私は、彼の膝の上に乗った。

彼に抱きついて、
気持ちを込めたキスを送った。

「美夜、そんなキスすると、
出発が遅れるぞ」

「だって、
街中でキスできないでしょう?」

覚えておきたかった。

彼のキスがどんな風だったか。

それ以上に、一度でも多く、
彼と結ばれたかった。

「美夜……」

「何も言わないで、黙って抱かれてよ」
私は、今、
着替えたばかりのファイサルのシャツを引っ張り上げた。
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