熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「とりあえず、お蕎麦かな」
鶴岡公園に車を止め、
公園内を歩いたところだった。
お城の跡を見れば、
何か思い出すんじゃないかと
軽く考えてたけど、
聞いただけの記憶を再現しようなんて、考えが甘かったのかもしれない。
一度も来たことのない
人間にとって、馴染みのない言葉を
記憶するなんて、
想像以上に難しいことだった。
しかも、外国人だし。
お蕎麦屋の暖簾をくぐって、
きっとファイサルのお母さんも、
この辺りを歩いていたに違いないよと言葉をかけた。
私が諦めてしまっては、
どうしようもない。
「そばっていうのは、
聞いたことがあるな。
わざと音をさせて食べるんだと言っていた」
そうそう、その調子。
「そう。だったら、
食べたことあった?」
「そう言えば、
小さな頃、一度だけ食べたかも。
でも、食べ慣れなかったし、
子供が食べて
嬉しいもんじゃなかった。
箸で食べなければならなかったし、面倒くさくって半分以上残してしまって。
それ以来、食べさせてもらえなくなった」
「今は、美味しく食べられる?」
「麺をつける、
つゆのおいしさが違うよ」
「そう。よかったわ。
ファイサル?
この後、中学校に行って、
市内の観光施設を周ろう。
あんまり思いつめないで。楽しもうよ」
「うん」