熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
「時には、
父と言い争いになっても、
信念を曲げなかったんだ。

教育はどうしても、
経済政策の後回しになってしまうからね」

「ええ」

私は、無理に
思い出させようとしないで、
自然に思い出すのを待った。

私とファイサルは、
こうして、
町のあちこちに曲がりくねった通や
武家屋敷、江戸時代の古い街並みの
幻影を見て回った。

私は、彼が母の面影にあった幻影を、
古い時代のものと重ね合わせて、懐かしんでいる様子を見ていた。

私には、
彼が懐かしい思い出に触れに来た
というよりは、こういうものを
しっかりと新しく
記憶にとどめておこうとしているように見えた。

責任ある立場になったら、
気軽に来ることはできなくなる。

それに、いろんなものに、
別れを告げに来たのではないかと思うようになっていった。


楽しい日々は、
2日、3日と過ぎていき
だいたいの観光施設もまわった。

そして今日の午前中、
彼が行きたがっていた月山の山を近くまでドライブした。

これで、行きたいと思っていた
場所は回ってしまった。


「ねえ、ファイサル?
そろそろ場所を変えましょうか?

もっと北に移動してもいいし、反対に西の方に行ってもいいわ」
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