熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
彼は、胸に私を抱いて話し始めた。
『人質にしてくれと願い出るつもりだ。
ベトウィン族の改革派の一派が王宮を襲った。
彼らは、私の母を人質にして連れ去った。だから……』
ファイサルは、私の頭のてっぺんにキスをしてから言った。
彼は、体を震わせていた。
彼の体が触れている場所から、緊張している様子が伝わってくる。
私は、余計な言葉を挟まないように、彼の途切れた言葉をじっと待つ。
ファイサルの大きな体を抱きしめる。
腕を背中に回して、彼がしてくれたようにギュッと抱きしめる。
『お母様と取りかえて欲しいと、自分から申し出るつもりなの?』
私は、とうとうこらえきれずにいた。
彼は、否定しなかった。
『美夜、いろいろ手を尽くしたんだ。
ああ。もう、その手しか残っていない。
母を捕えているグループと連絡を取りあっている。
私は、すぐにでも国に帰るよ。
国に帰ったら、生きて君には会えないかもしれない』
体を引き離して、彼の顔を見たいと思った。
でも、ファイサルは私の体にしがみついたまま、離れようとしない。
『そんなこと、あるはずがないわ。
ビジャールの人たちが、尊敬しているあなたのお母様を人質にとるなんて』
『私だって信じたくない。でも、それが現実だ。
美夜……怖いよ。
死にたくない。お願いだから、抱きしめて欲しい』
『ファイサル、そんなのずるい……
そんなこと言われたら、断れない』
『君は、強くて優しい人なんだ。
だから、助けて美夜……
本当は、行きたくない。
銃を持った相手のところになんか、行きたくない』