熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~

彼がベッドの中で言った。

『美夜、好きだよ。後悔はさせない。
これは、仮の結婚なんだよ。
すぐに結婚できないカップルが最初に結ばれるとき誓い合うんだ。
そうすれば、永遠に君は私のものなんだ』

彼は、アラブ語で何か唱えると、彼に言われるまま体を重ねた。

『私の美夜、愛してるよ』

彼の言葉をすべて信じてるわけじゃないけど。

まったく嘘だとも思わなかった。

私は、このまま彼の横で、暮らすんだろうなとぼんやり考えていた。
ファイサルと暮らすことに、それほど不安はなかった。

だから、彼が祖国に戻ると言っても、
『しばらく日本を離れる。すぐに帰ってくるよ。君を残していくのは辛い』
という、彼の言葉をそのまま信じていた。

本当に2、3日で帰ってくるような言い方だったから。




たったそれだけの言葉を残しただけで、彼は私の前から姿を消した。

何があったのか、彼はどうしているのか。

まったく情報のないまま、時間だけが過ぎて行った。

中東の小さな国のことなんか、ニュースではどこにも取り上げられなかった。

英語のニュースを聞いて、アラブの民主化運動を取り上げる記事を読み漁り、ビジャールに関する情報を集めた。

アルジャジーラの放送を聞くようになって、少しだけ情報が入るようになっていた。

アラブの言葉は、そうやって覚えていった。

ビジャールにクーデターが起こって、すぐに収まった。
私にわかったのは、これだけだった。


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