熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~

泣きそうになる。どういうこと?
仕事を取り上げられたの?

私、首ってこと?
私に用はないってこと?
事前に通知もなしに?

ツアーにでなければ、今月はすでに、
私の仕事もないってことだ。

「オノミヤ、早まるなって」
岡本さんが、
よっこいしょっと重い体を抱えてやって来た。

「早まるなって言ってるでしょう?」
私は、岡本さんの方を向いた。

「そういえば、オノミヤが来たら、
引き留めておいてって本部長に言われてたんだわ。
忘れてた」

「ほら、これでも食って」

岡本さんが、見慣れた茶色い箱を出す。
ハワイ土産のマカダミアナッツ。

「マカダミアナッツなんか、いらない」

うちの会社の社員は、
客を連れていろんな国に添乗に行く。
それが主な仕事だからだ。

社員の中には、
お土産をいちいち考えるのが面倒になって、
飛行機の機内とか空港で、
何も考えずにマカダミヤナッツを買ってくる人がいる。

だから、ヨーロッパのお土産が
ハワイのチョコレートなんてことになる。

そして、事務所には、
このチョコレートが常備されてる。

ほとんど岡本さんが食べてるけど。
「贅沢言うな」
岡本さんに、口の中にチョコレートを放り込まれた。

「甘い」

正直言って、私はコンビニで売られている
日本の繊細な味のチョコの方が好きだ。

「コーヒー入れたから、部長の席でそれ飲んでて」
「はひっ」コーヒーはやたら熱かった。


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