熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
なぜか、私も抱えられたまま、
ファイサルに引きずられるように店を出た。
「ちょっと待って!」
後から、千紗が追っかけて来てくれて、
カバンと上着を持ってきてくれた。
「お願い!行かないで」
私は、千紗の服を引っ張って、
小さく日本語で言う。
分かったと、彼女が答えた。
千紗は、
すでに自分の荷物を手に持っていた。
だから、最初から付いてくる
つもりだったんだろう。
なんて手際がいいんだろう。
って、感心してる場合じゃないや。
わたしは、怒れるアラブ人に捕まったまま、
アラブ人に連れ去られようとしているのか。
ファイサルは、イライラしながらタクシーを呼ぶと
『君は誰だ』
と今気が付いたみたいに、千紗に尋ねた。
ギロッと睨みつけられた。
恐っ。
千紗は、よく声かけられるなあ。
『美夜の友人です』
彼女も英語で答えた。
『心配だから、付いてきたの。
どこへ行くつもり?』
『お前には、関係ない』
『どこにも行き先、
決めてないんでしょう?だったら、
一緒に行ってもいい?』
ファイサルは、
キッっと千紗をにらみつけてから、
それっきり黙り込んだ。