熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
部屋は、寝室が別にあるタイプだ。

この大きさからすると、
多分スイートルームだ。
普通の人なら、
高級ホテルのスイートルームなんて、
一生に一度泊まるかどうかってとこだけど。

『住むところ決めてなくてね。
いまだに仮住まいなんだ』

こういうところに、
仮住まいしてる人がいるという噂は、
私も聞いたことがある。

『ここにですか?』
『この部屋は、違うよ。隣の大きな部屋だ。
それに、ここに来た時は、
そんなに長居をするつもりはなかったからな』

『そうですか』

私は、部屋の中の様子を、
よく見ておこうと思った。

『それで?私に話って、何ですか?』

寝室の他に、リビングルームのような
部屋があって、テーブルが置いてあった。

ファイサルは、私に、そこに座るように言った。

『あなたって、お金持ちなのね?』
どのくらいお金持ちかっていうのは、
分からないけど。

『私がお金持ちだと、君は嬉しいか?』

何だか、意味が分からない。
『どうして、私が嬉しいなんて思うのよ』
彼は、こっちへおいでと言って手招きする。

ずるい。彼の方に行かないと、
せっかくの夜景が見られない。

『私が相手をする女性は、例外なく
金持ちだと思って近づいてくるからだ』

それは、あなたの思い込みじゃないの?

あなたは近づいてくる女の人が、
あなたがお金を持っているから寄ってくる。
そう、思ってるわけね。

『かわいそうに。よく見たら、
全員がそうじゃないって分かるはずよ。
それとも、あなたの方が、
そういう被害妄想になっちゃってるの?』

彼は、悩ましそうに私の顔をじっと見つめた。

そうして、可笑しそうにくしゃっと笑った。

ものすごい……

罪作りな、破壊力のある笑顔で。


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