熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
テーブルは、そう広くはない。

しかも、ファイサルはすぐ手を伸ばせば
捕まえられるほど近くに座っている。

『美夜先輩?』
それだけ言うと、彼は手で顔を覆った。

『どうしたの?具合でも悪いの?』

私は、うかつにも彼に近づいて、
様子を見ようと顔を近づけた。


『正直にいます。私は、
あなたを、どうしたらいいのか分からない。

私の国には、あなたのように
真っ向から向かってくる女性はいない』
彼は、下を見たまま言う。

『そう。それなら、簡単なことよ。
私の近くに居なきゃいいじゃないの』

『それは、もう。すでに試した。
離れようとしたんだ。
何日か、私を見かけない日が
あったでしょう?
でも、ダメだったんです。

なぜか去りがたくてこうしてやっぱり、
こうして近づいてしまう』
彼は、身を乗り出して私の手をつかまえた。

『困ったわね』本当に。どうしよう、
彼の腕から、
逃げられなくなっちゃったじゃないの。

『ああ、本当に困ってる』
こつんと頭におでこをぶつけてくる。

ふざけてるのだろうか?
彼は、私のことを
からかってるのだろうか?


『あなたのお国の人は、
どうしてあなたに逆らわないの?
どうして、本心であなたに
向かってこないの?』

私の質問で、
ファイサルは口元を緩めて笑い出した。

『どうしてだろうね。
私も、時と場合をわきまえてもらえば、
ちゃんと聞く耳を持っているのに。
みんな、そうならないんだ』
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