熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
『あなたには、
本音で話してくれる友達や、
家族がいないの?』
私は、部屋の中を見回した。
隙を見て逃げ出そうとした。
『家族なら、一人いるよ。私の母だ。
母は私が間違ったことをすると、
蹴っ飛ばしてでも謝らせる唯一の人だ』
彼は、いつの間にか私の横にいた。
『お母様』
『私の母は、日本人だ。だから、一度、
母が生まれた国である日本に、
こうして来てみたいと思ってたんだ』
彼は、私の肩を抱いている。
『そうなの?お母様はどんな人?』
少し考えてから、彼は言う。
腕を振り払おうとしたけれど、
彼の腕は、びくともしない。
『とっても似ているな。君にそっくりだ。
私が感情を抑えきれず、
酷いことを言うと怖い顔でギロッと睨むんだ。
そして容赦なく、思ったことを
はっきりと言ってくれる。
手を上げたり、蹴ったりはしないけどね』
ひっぱたいたりしないわよね。普通。
『友達は意見を言ってくれないの?
あなただって、
ガールフレンドぐらいるでしょう?
そうだ。ムスタファは?
彼は、あなたとずっと一緒にいるじゃないの』
『ムスタファが、
私に意見をすることは絶対にないよ。
悲しいけど、あいつは、
そういうふうに教育されてるからね』
『ムスタファは、友達じゃないの?』
始終一緒にいるのに、
友達じゃないなんて。
じゃあ、なに?
どんな関係だっていうのよ。
『友達だよ。
でも、あいつには立場があるんだ。
ここは、ビジャールじゃない。
もっと友達らしくして欲しんだけど。
人間、一度見についた習慣は
簡単には変えられない』
『そうなの』
『君だけだ。
そうやって私のことを見てくれるのは』