スパダリ副社長の溺愛がとまりません！

亮平さんはきっと、萌さんの気持ちをちゃんと分かっていたーー。

分かっていたうえで、彼女がそういう考えなら、自分は受け止められないと思ったのかもしれない。

「でも、すぐに後悔して……。ニューヨークにいる亮平くんに何度か連絡をしたけど、全て無視をされました」

「そう……ですか」

「本当に、私に愛想を尽かしたんだと思います。今さら後悔してもどうにもならないけど、結納の前にもう一度、亮平くんに会いたかった……」

萌さんは涙を拭うと、床に置いていたバッグを手に取り立ち上がった。

「今日は亮平くんに、あのときの言葉は、本心じゃなかったって言いに来たんです」

「どうして……。申し訳ないですけど、今さらって感じがします」

「分かってます。ただ、亮平くんにどうしても伝えたかった。傷つけたことを謝りたかった。私、明日から貴也くんの婚約者になるんで。会えるのは今日まで……」

切なそうに言った萌さんは、「それじゃあ、失礼します」と会釈をして玄関に向かった。