スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
「もちろん、100パーセント望んでませんよ。ただ、萌さんには最後にもう一度、亮平さんに伝えたい想いがあるんです」

亮平さんを疑っているわけじゃないけれど、不安がないわけではない。

できるなら、ふたりで会ってほしくない。でも、ここで萌さんが亮平さんに会えれば、明日からの新しい毎日を、前向きに感じてもらえるかもしれないから。

「亮平さんたちには、それを伝え合ってから、本当の意味で過去を思い出にしてほしいんです」

「ありがとう、実和子。優しいんだな。じゃあ、萌に会いに行ってくる」

亮平さんは私の額にキスをして、走って部屋を出ていった。いつかのパーティーの夜も、亮平さんは走って彼女のところへ行ったっけ。

「あ、雨……」

バルコニーへ出ると、雨がしとしと降っている。私のモヤモヤする心も、雨に流れてしまえばいい。

亮平さんが帰ってきたら、どうだったかを聞いてみよう。今夜で私のヤキモキも、終わりにするから。

亮平さんは私を優しいと言ってくれたけど、本当はそうじゃない。萌さんに、亮平さんをきっぱり諦めてほしいから。

だから、今夜は彼女のところへ行ってと言ったの……。
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