スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
彼が戻ってくるまでは、とても落ち着かない。だからか、私はバルコニーから動かないまま、ずっと夜景を見ていた。

雨の匂いがする……。それにモヤが出てきたのか、街のネオンが滲んで見えた。

今ごろ、ふたりはどんな会話をしているのだろう。いつ帰ってきてくれるのだろう。

萌さんの話を聞いて、亮平さんの傷ついた過去が癒されたらいいな。

そしてまた、私の側に戻ってきてくれたら……。亮平さん、早く帰ってきて。会いたいよ。

テラスにもたれかかり、目を閉じたときーー。

「実和子、ここにいたのか」

亮平さんの声がして、急いで振り向いた。

「お帰りなさい! 萌さんには、会えた?」

「ああ。会えたよ。本当にありがとう。萌の気持ちが聞けて、お前の言うとおり、過去がいい思い出になった」

清々しい笑みを浮かべて、亮平さんは私をゆっくり抱きしめた。

「なあ……。お前、体が冷たくないか? いつからここにいたんだ?」

亮平さんは私の体を離し、怪訝な顔で覗き込む。

「えっと……。亮平さんが出てすぐくらいだから……」

「じゃあ、二時間以上も⁉︎」
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