スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
「バラバンの代表、小島くんって実和子の元カレだよな?」

亮平さんは新聞に目をやったまま、そう問いかけてきた。

「はい……。大学時代の……。でもあの頃は、今とは違って爽やかで優しい人だったのに……」

「彼、相当俺たち橘に、恨みがあるみたいだな。バラバンの代表って、小島くんの前には、違う人が代表だったんだけど、事業に失敗して自殺してるんだ」

「そうだったんですか⁉︎」

亮平さんの隣に座ると、彼も私に目を移した。

「らしいよ? 調べた限り、小島くんはその人を慕っていて、バラバンの跡を継いだ。で、彼が事業を拡大していきたかったけど、うちが融資を断ったために、行き詰まっているらしい」

「そんな……。それは、逆恨みじゃないですか。だいたい、新しくバーとか開いていたし、そこまで行き詰まってるのか……」

端々に感じていた彼のイヤな空気や、萌さんが言っていた圭介の黒い噂は、勘違いじゃなかった……。

あまりのショックに口をつむいでいると、亮平さんが優しく頭をポンポンと叩いた。

「実和子が考えることじゃないだろ? こういうことは、少なからずある。彼は、本当に訴えて勝つとは思ってないと思うよ」
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