スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
亮平さんは不満そうな顔をしながら、私を離すとリビングテーブルに置いてあったスマホを手に取った。

「ったく、邪魔されたな。誰だろ」

亮平さんはため息交じりにディスプレイを確認すると、さらにため息を深くした。

「悪い、会社からだ」

「気にせず、出てください」

笑顔を向けた私に、亮平さんは申し訳なさそうな顔をして、キッチンへ行って電話に出た。

休みの日でも、こうやって電話がかかってくるなんて、亮平さんも大変だな……。

私は、もう一度窓の外の景色に目を移して、気にしない振りをしてみる。でも静かな部屋だけに、亮平さんの声が聞こえて意識はそちらへ集中した。

「なに? それじゃ、話が違うだろ?」

どうやらトラブルが起きたらしく、口調がキツイ。大丈夫かなと思いながら、まだ声は聞こえる。

「いや、だからそれは絶対に折れるなよ? ああ、そう。そうやって言ってくれたら……。分かった。オレも会社に行くから」

そう言った亮平さんは、電話を切った。会社に行くって、今から……?

そうなら、帰らなくちゃいけない。亮平さんともうお別れかと思うと、途端に寂しさがこみ上げてきた。
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