いつも、雨
「ごめんなさい。……社交辞令を真に受けて……一喜一憂して……。」
佐那はそう言って、ポロポロと涙をこぼした。
ぎょっとして、要人はハンカチを探そうとして……既に佐那に渡してしまってることに気づいた。
身体を捻って、後部座席に放置していたティッシュをボックスごと取ろうとした。
そして……気が変わった。
要人は佐那をぐいっと抱き寄せた。
ティッシュではなくシャツで涙を拭けばいい。
佐那は、カチコチに硬直していたが……要人が背中を優しくさすってやると、次第に緊張がほどけてきたらしい。
小刻みな震えが止まり、胸元がじんわりと佐那の涙で濡れてきた。
要人は小さく息をついた。
「ごめん。誤解させたなら、謝る。……でも、社交辞令じゃないから。佐那ちゃんに、また逢いたいって思ったから、誘ったんや。」
本当に、京都の言葉は難しい。
社交辞令で、その気がなくても礼儀として簡単に誘う。
その場のノリで終われそうにない時には、「また今度」と言えば、相手にも「また」はないと通じる。
……でも、この場合は……、単に、今日知り合ったばかりの、いかにも真面目そうなお嬢さんを、このまま連れ回すわけにはいかないからの「また今度」のつもりだった。
家まで送り届けてから、車から降ろす前に、ちゃんと連絡先を尋ねて、次の約束を取り付けるつもりだった。
「せっかちなお嬢さんやなぁ。」
そう苦笑すると、佐那はガバッと顔を上げた。
「20年生きてて、初めて、実在する生身の男性に一目惚れしたんです!……このまま、お持ち帰りされて、明日の朝、竹原さんが葉っぱになってても、悔いはありません!」
……葉っぱ?
唖然とする要人に、佐那はあわあわして……声のトーンを落とした。
「……竹原さんが狐か狸だったとしても?……もう少し化かされていたいなあ……って……。」
ぶっ……。
要人は軽く吹き出し……そのまま、額に手を宛がい、声を挙げて笑った。
佐那はそう言って、ポロポロと涙をこぼした。
ぎょっとして、要人はハンカチを探そうとして……既に佐那に渡してしまってることに気づいた。
身体を捻って、後部座席に放置していたティッシュをボックスごと取ろうとした。
そして……気が変わった。
要人は佐那をぐいっと抱き寄せた。
ティッシュではなくシャツで涙を拭けばいい。
佐那は、カチコチに硬直していたが……要人が背中を優しくさすってやると、次第に緊張がほどけてきたらしい。
小刻みな震えが止まり、胸元がじんわりと佐那の涙で濡れてきた。
要人は小さく息をついた。
「ごめん。誤解させたなら、謝る。……でも、社交辞令じゃないから。佐那ちゃんに、また逢いたいって思ったから、誘ったんや。」
本当に、京都の言葉は難しい。
社交辞令で、その気がなくても礼儀として簡単に誘う。
その場のノリで終われそうにない時には、「また今度」と言えば、相手にも「また」はないと通じる。
……でも、この場合は……、単に、今日知り合ったばかりの、いかにも真面目そうなお嬢さんを、このまま連れ回すわけにはいかないからの「また今度」のつもりだった。
家まで送り届けてから、車から降ろす前に、ちゃんと連絡先を尋ねて、次の約束を取り付けるつもりだった。
「せっかちなお嬢さんやなぁ。」
そう苦笑すると、佐那はガバッと顔を上げた。
「20年生きてて、初めて、実在する生身の男性に一目惚れしたんです!……このまま、お持ち帰りされて、明日の朝、竹原さんが葉っぱになってても、悔いはありません!」
……葉っぱ?
唖然とする要人に、佐那はあわあわして……声のトーンを落とした。
「……竹原さんが狐か狸だったとしても?……もう少し化かされていたいなあ……って……。」
ぶっ……。
要人は軽く吹き出し……そのまま、額に手を宛がい、声を挙げて笑った。