いつも、雨
「ええ。ですから、せめて誕生の瞬間だけでも……」
「いや!絶対いや!見られたくない!」
領子は意固地に拒絶した。
出産時に排泄物も出るかもしれないとか、会陰切開とか、血まみれの赤ちゃんとか……絶対に見られたくない。
「……第一、さすがに出産時には、主人も病院に来てくださるはずよ。竹原が居られるわけないでしょう?」
でも、要人は失笑した。
「今さら、何をおっしゃるのかと思えば。……病院のほうは問題ありません。領子さまのご家族とは一切顔を合わせることはありません。……それでも気になるというなら、そうですね……また、ご主人には、海外出張でもしていただきましょうか。」
大人げない要人のことばに、領子は呆れた。
「最低。本当に、酷いヒト。」
要人の顔が、歪んだ。
「……ええ。自分でもそう思います。最低の男です。でもね、俺をこんな男にしたのは、貴女ですよ。領子さま。……貴女さえ、あの時、俺を選んでくださったら……こんな……身を裂かれるような想いを何度も何度もすることはなかった。お互いにね。」
「……そんなこと、今さら言われても……。」
領子は、両腕でお腹を抱えるようにうずくまった。
泣きそう。
泣けないけど。
足首のアンクレットに触れて、少し気持ちが落ち着いてきた。
「……条件があります。」
震える声で、領子は言った。
「何なりと。」
恭しい身振りをしてみせた要人を、領子は睨み付けて言った。
「絶対に!見ないでください。わたくしの枕元から決して動かないで。両手を放しませんから。それでもよくって?」
「もちろんです。ありがとうございます。」
要人は満足そうに笑った。
……まったく……もう。
何だかんだ言っても、ずっとそばにいてくれるなら、こんなに心強いことはない。
領子だって、本当はずっと要人にそばにいてほしい。
その気持ちに嘘いつわりはない。
もしかしたら、素直になれない、意地っ張りな領子のために、要人は一肌脱いでくれたのかもしれない。
……喰えない男。
領子は、要人にもたれかかって、ほーっと息をついた。
腰をさすってもらうと、とても気持ちよくて、目がとろーんとしてきた。
こんなにも穏やかで幸せな時間が永遠ならいいのに……。
領子にとっても要人にとっても、2人で過ごす時間こそが至上だった。
「いや!絶対いや!見られたくない!」
領子は意固地に拒絶した。
出産時に排泄物も出るかもしれないとか、会陰切開とか、血まみれの赤ちゃんとか……絶対に見られたくない。
「……第一、さすがに出産時には、主人も病院に来てくださるはずよ。竹原が居られるわけないでしょう?」
でも、要人は失笑した。
「今さら、何をおっしゃるのかと思えば。……病院のほうは問題ありません。領子さまのご家族とは一切顔を合わせることはありません。……それでも気になるというなら、そうですね……また、ご主人には、海外出張でもしていただきましょうか。」
大人げない要人のことばに、領子は呆れた。
「最低。本当に、酷いヒト。」
要人の顔が、歪んだ。
「……ええ。自分でもそう思います。最低の男です。でもね、俺をこんな男にしたのは、貴女ですよ。領子さま。……貴女さえ、あの時、俺を選んでくださったら……こんな……身を裂かれるような想いを何度も何度もすることはなかった。お互いにね。」
「……そんなこと、今さら言われても……。」
領子は、両腕でお腹を抱えるようにうずくまった。
泣きそう。
泣けないけど。
足首のアンクレットに触れて、少し気持ちが落ち着いてきた。
「……条件があります。」
震える声で、領子は言った。
「何なりと。」
恭しい身振りをしてみせた要人を、領子は睨み付けて言った。
「絶対に!見ないでください。わたくしの枕元から決して動かないで。両手を放しませんから。それでもよくって?」
「もちろんです。ありがとうございます。」
要人は満足そうに笑った。
……まったく……もう。
何だかんだ言っても、ずっとそばにいてくれるなら、こんなに心強いことはない。
領子だって、本当はずっと要人にそばにいてほしい。
その気持ちに嘘いつわりはない。
もしかしたら、素直になれない、意地っ張りな領子のために、要人は一肌脱いでくれたのかもしれない。
……喰えない男。
領子は、要人にもたれかかって、ほーっと息をついた。
腰をさすってもらうと、とても気持ちよくて、目がとろーんとしてきた。
こんなにも穏やかで幸せな時間が永遠ならいいのに……。
領子にとっても要人にとっても、2人で過ごす時間こそが至上だった。