いつも、雨
領子は、こんな時なのに、少し笑ってしまった。
……馬鹿ね……舌打ちなんかして……。
でも、竹原には関係ないことよ。
責任を取るのも、糾弾されるのも、わたくしだけ。
領子の背筋が伸びた。
美しい後ろ姿を、要人は恨めし気に見送った。
2人の行き先を確認してから、領子に付けている江連に探りを入れさせた。
要人自身は、駐車場で待機することにした。
本当はすぐに京都に戻る予定だった。
しかしとても帰れる心情ではない。
要人は、東京社屋で待っている秘書の原に電話をかけて、今夜の予定のキャンセルを頼んだ。
『……また、ですか。わかりました。宿泊されますか?』
呆れ声の原に、要人は言った。
「可能なら。……無理なら、一旦帰って、明日またこっちに来る。」
こうなったら、何をどう言っても無駄だろう。
原は、要人の領子に対する過剰過ぎる執着心を、もうとっくに嫌というほど思い知らされていた。
『……わかりました。調整してみます。折り返しご連絡いたしますので、少しお待ちください。ホテルは、そのままそちらに?』
「いや。チェックアウトした。……まだ私もよくわからないが、どうやら、知られてはいけないヒトに見られたようだ。……ホテルによくよく言っておいてくれ。」
『そうですか。ご愁傷様でした。』
……それでも、あのご夫人と別れるという選択肢は社長にはない……。
天秤に掛けるまでもなく、会社も妻子も領子のために捨ててしまうだろう。
原にできることは、佐那子がつゆほども疑わないように、完璧な理由とアリバイを作ることだけだった。
領子は、千秋に何度聞かれても、要人のことは漏らさなかった。
「言えません。」
「申し訳ありません。」
そう繰り返す頑なな嫁に、さすがの千秋も苛立った。
「言いたくなければ、それでいい。興信所で調べてもらう。……私は橘家の家長として、その男と話をしなければいけない。……わかるね?領子さん。その男と、もう逢ってはいけない。スッパリ別れなさい。……君にも監視を付けるからね。」
「……お義父さま……。」
領子は絶望的な気持ちになった。
……馬鹿ね……舌打ちなんかして……。
でも、竹原には関係ないことよ。
責任を取るのも、糾弾されるのも、わたくしだけ。
領子の背筋が伸びた。
美しい後ろ姿を、要人は恨めし気に見送った。
2人の行き先を確認してから、領子に付けている江連に探りを入れさせた。
要人自身は、駐車場で待機することにした。
本当はすぐに京都に戻る予定だった。
しかしとても帰れる心情ではない。
要人は、東京社屋で待っている秘書の原に電話をかけて、今夜の予定のキャンセルを頼んだ。
『……また、ですか。わかりました。宿泊されますか?』
呆れ声の原に、要人は言った。
「可能なら。……無理なら、一旦帰って、明日またこっちに来る。」
こうなったら、何をどう言っても無駄だろう。
原は、要人の領子に対する過剰過ぎる執着心を、もうとっくに嫌というほど思い知らされていた。
『……わかりました。調整してみます。折り返しご連絡いたしますので、少しお待ちください。ホテルは、そのままそちらに?』
「いや。チェックアウトした。……まだ私もよくわからないが、どうやら、知られてはいけないヒトに見られたようだ。……ホテルによくよく言っておいてくれ。」
『そうですか。ご愁傷様でした。』
……それでも、あのご夫人と別れるという選択肢は社長にはない……。
天秤に掛けるまでもなく、会社も妻子も領子のために捨ててしまうだろう。
原にできることは、佐那子がつゆほども疑わないように、完璧な理由とアリバイを作ることだけだった。
領子は、千秋に何度聞かれても、要人のことは漏らさなかった。
「言えません。」
「申し訳ありません。」
そう繰り返す頑なな嫁に、さすがの千秋も苛立った。
「言いたくなければ、それでいい。興信所で調べてもらう。……私は橘家の家長として、その男と話をしなければいけない。……わかるね?領子さん。その男と、もう逢ってはいけない。スッパリ別れなさい。……君にも監視を付けるからね。」
「……お義父さま……。」
領子は絶望的な気持ちになった。