いつも、雨
この家がどれほどの家なのかは知らないが、かつてはともかく、現在は地方自治体の政治家の家でしかない。
大地主だと言っても、地価の安い、駅前にマンションすら建っていない小さな街のこと。
たいした家賃収入も見込めるとは思えない。
自治体も小さいので工場誘致すらままならないし、議員と言っても利権は少ないだろう。
それでも選挙の度に多額の費用がかかっているはずだ。
……金持ちの支援者……それも姻戚関係なら、喉から手が出るほど欲しいことは推測するにたやすい。
俺のことを知ったら、邪険に扱うことはできないはずだ。
要人には、そんな目論見もあった。
しかし……佐那子がこの男を嫌っているなら、話は別だ。
子供達と佐那子は井上の車に乗せて、要人は原と2人で荒井の運転するに乗り込んだ。
「……癖の強そうな夫婦だったな。」
世間話のように要人は原に言った。
「割れ鍋に綴じ蓋。似合いの夫婦ですね。……国会議員の次男に生まれたことだけがアイデンティティの阿呆坊(あほぼん)と、庶子のコンプレックスを本家のお嬢さまを虐めることで紛らわせていた野心家の元スッチーです。彼女は、やり手ですよ。」
原の説明に、要人は眉をひそめた。
「……佐那子は……あの女に虐められてたのか?」
「奥さまは、笑顔で受け流してらっしゃいましたが、けっこう酷いことを言われてましたし、されてましたよ。……たまたま私も同じクラスになったことがありましたので間違いありません。」
「では、佐那子の大叔父の妾の子と言うのが、あの女なのか。……なるほど。」
他人がどうこう言える確執ではなさそうだ。
生まれる前からの因縁というわけだ。
「……ところで、佐那子の御母君は……あの夫婦と一緒に住んでるのか?」
「一緒に、と言うほど一緒ではありませんが。広い敷地の中の別棟に住み分けてらっしゃるようですね。……大先生が亡くなられたことで、大奥さまの肩身が狭くなられることは間違いありませんが。」
「……そうか。……では……いずれ、こちらに来ていただくこともできそうだな。」
要人のつぶやきに、原は驚いたようだ。
「新居に、隠居も建てるおつもりですか?」
何も好き好んで、めんどくさそうな姑との同居を提案しなくても……。
しかし、要人は来たるXデーに備えて、佐那子のためにできうる限りのことをしてやりたかった。
俺が居なくても、何不自由なく、淋しくなく、暮らせるように……と、本気で心を砕いていた。
大地主だと言っても、地価の安い、駅前にマンションすら建っていない小さな街のこと。
たいした家賃収入も見込めるとは思えない。
自治体も小さいので工場誘致すらままならないし、議員と言っても利権は少ないだろう。
それでも選挙の度に多額の費用がかかっているはずだ。
……金持ちの支援者……それも姻戚関係なら、喉から手が出るほど欲しいことは推測するにたやすい。
俺のことを知ったら、邪険に扱うことはできないはずだ。
要人には、そんな目論見もあった。
しかし……佐那子がこの男を嫌っているなら、話は別だ。
子供達と佐那子は井上の車に乗せて、要人は原と2人で荒井の運転するに乗り込んだ。
「……癖の強そうな夫婦だったな。」
世間話のように要人は原に言った。
「割れ鍋に綴じ蓋。似合いの夫婦ですね。……国会議員の次男に生まれたことだけがアイデンティティの阿呆坊(あほぼん)と、庶子のコンプレックスを本家のお嬢さまを虐めることで紛らわせていた野心家の元スッチーです。彼女は、やり手ですよ。」
原の説明に、要人は眉をひそめた。
「……佐那子は……あの女に虐められてたのか?」
「奥さまは、笑顔で受け流してらっしゃいましたが、けっこう酷いことを言われてましたし、されてましたよ。……たまたま私も同じクラスになったことがありましたので間違いありません。」
「では、佐那子の大叔父の妾の子と言うのが、あの女なのか。……なるほど。」
他人がどうこう言える確執ではなさそうだ。
生まれる前からの因縁というわけだ。
「……ところで、佐那子の御母君は……あの夫婦と一緒に住んでるのか?」
「一緒に、と言うほど一緒ではありませんが。広い敷地の中の別棟に住み分けてらっしゃるようですね。……大先生が亡くなられたことで、大奥さまの肩身が狭くなられることは間違いありませんが。」
「……そうか。……では……いずれ、こちらに来ていただくこともできそうだな。」
要人のつぶやきに、原は驚いたようだ。
「新居に、隠居も建てるおつもりですか?」
何も好き好んで、めんどくさそうな姑との同居を提案しなくても……。
しかし、要人は来たるXデーに備えて、佐那子のためにできうる限りのことをしてやりたかった。
俺が居なくても、何不自由なく、淋しくなく、暮らせるように……と、本気で心を砕いていた。