いつも、雨
来週には、由未も、百合子さまも、小学校の入学式を迎える。


……早いものだ……。

百合子さまは、かつての領子さまと同じ制服で同じ小学校に通われる。


橘家の車で送り迎えしてくれるそうなので大丈夫だとは思うが……念の為に、アクセサリーにしか見えないスワロフスキーの防犯ブザーをお祝いと共に贈った。

地元の公立小学校に集団で歩いて登下校する由未にも持たせるつもりだ。


……本当なら由未も私立の小学校に入れるつもりだったが、兄の義人と同じ学校がいいと言い張るので断念した。

早いほうが、受験勉強も不要なのに……要領の悪い子だ。


百合子さまのような美人には一生ならないだろうが、素直で無邪気で、愛らしい子に育っている。


少し……いや、かなり、義人に甘やかされ過ぎて、兄妹仲が良すぎる気はするが……そのうち、お互い、他に興味が向くだろう。



佐那子にも……他にイイ男ができれば……安心するのか?

……いや。

身勝手なようだが、それはそれで、苦しい。


幸せでいてほしいのだが……。

要人は、何をどうイイヒトぶっても、やはり傲慢な自分から逃れられなかった。








由未の入学式には、佐那子と2人で参列した。

ぼーっとした子だとは思っていたが……既に、グループを形成しつつある女の子達の輪に自分から入ることができないらしく、やきもきした。

たまたま隣に座った子に話しかけられて、何とかお友達ができそうなことを確認して、佐那子と要人はようやく安堵した。


「義人はほっといてもリーダーになっちゃう子だけど……由未はクラス替えの度に心配ね、これからも。」

珍しく、佐那子と2人で小学校から歩いた。

平日とはいえ、桜満開の観光地は、賑やかだった。


「まあ、何とかするだろ。……もしイジメられても、たぶん、義人が解決するだろ。」


人ごみにはぐれないよう、佐那子と手をつないで歩いた。


何となくデート気分らしくニコニコしている佐那子を、要人はボートに誘った。

「たまには、どう?」


佐那子はうれしそうに頷いて、おねだりした。

「ね。少し上流までいって。うちのお庭のとこ。……川からはどう見えるかしら。」


佐那子は、造園に夢中だ。
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