いつも、雨
……なんて顔してるの……。

こんなにも、感情を剥き出しにするなんて……。

かわいそうな……竹原……。



「領子さま……。」

絞り出すような声が、また、痛々しい。



……ごめんなさい……。

領子は、心の中で謝って、ぎこちない笑顔を無理矢理浮かべた。

「いいえ。本当のことよ。わたくし、宇賀神さんと再婚するつもりです。」


「はあっ!?」

まるで柄の悪いヤクザのように、要人は声を荒げた。


領子は一瞬ひるんだけれど、無理やり背筋を伸ばした。

「……放してください。痛いわ。」


そう言われて、要人は慌てて領子の肩を掴んでいた手を放した。

「失礼しました。」



ほっとして、領子はスタスタと歩き出した。

「どうぞ。応接室にいらしてください。……もうすぐ百合子が帰って来ますので、そのおつもりで。」


要人はばつの悪い顔で領子のすぐ後ろを歩いた。



……わずかな距離なのに……沈黙がつらかった……。





キタさんに紅茶を頼み、領子と要人ははす向かいのソファに座った。


「……いつから……」

要人はそう言いかけて、口をつぐんだ。


……馬鹿馬鹿しい。

領子さまとあんな男の仲を疑うなんて。

何もないに決まっている。




領子は、じっと要人を見て、それからおもむろに口を開いた。

「わたくしをご覧になってますか?」


「……は?」

要人には、領子が何を言わんとしているのか、理解できない。


訝しげに見て、首を傾げた。


領子は、ため息をついた。

「……まぶたが腫れて……全体的にお顔が浮腫んでますでしょう?……気づきませんでしたか?」


「あぁ……。……気づくも何も……。」

要人は肩をすくめた。


領子は憮然としたまま黙っていた。



「……拗ねないでください。どんな貴女も、私にとっては変わらず愛しいってことですよ。……たとえ、領子さまが酷い火傷を負われたとしても、別人のように大幅に太られても、これまでと何ら変わらないと誓いますよ。」


要人はそう言ったけれど、領子にはうさんくさく感じた。

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