いつも、雨
百合子は、義人に恋い焦がれて、わざわざ義人の居る学園を受験した。

しかし入学してみると、義人は、たぶん学園で一番のモテ男だった。

常に女子をはべらかしていて、百合子は義人に告白するどころか、アプローチもできない。

いや、極端な話、挨拶すらろくにできない。


義人が百合子に気づいて、手を振っただけで……その日から、百合子は陰口をたたかれ、誰からかわからないが小さな嫌がらせをされてしまう羽目に陥った。




「……そうだといいのですが。……義人さんは、学園のアイドルだそうですね。」

「そんないいもんじゃないですよ。種馬と揶揄されてると聞いてます。誰彼かまわず手を出すとか……」

「あら。竹原そっくりじゃありませんか。痛い目に遭わないと、わからないのじゃありません?」


領子がそうツッコむと、要人は苦笑いして……そのまま固まった。


「?」

動かない、返事しない要人の顔を、領子が至近距離から覗き込んだ。


「竹原?どうしたの?」


領子に問われ、要人は目を見開いたまま、領子を見た。


そして、ため息をつくように、一気に言った。

「相手は、義人でしょう。」


「え……。」

領子は、意味がわからず、キョトンとしていた。


たまらない気持ちで、要人は領子を抱き寄せた。

「……申し訳ありません。黙っていましたが……愚息の交友関係の報告書に、百合子さまのお名前も挙がっていました。」


「そうなの!?」

驚いて、領子は顔を上げた。


要人は、慌てて弁明した。

「いや、もちろんすぐに叱りました。立場をわきまえろ、と言い聞かせたつもりなのですが……」



ピンと来た。

領子は、要人の目をジッと見つめて言った。

「……それ、逆効果だったんじゃない?……義人さんの家庭教師の女子大生とか、保健室の先生とか……竹原が変にちょっかい出すから、義人さん、意地になってらっしゃるんじゃなくて?」

「いやいやいや。女子大生は向こうからですし、保健室の夏子さんとは何もありませんから!濡れ衣です!」

「でも、義人さん、誤解してらっしゃるんでしょう?」

要人は、苦虫を噛み潰したような顔で、渋々うなずいた。

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