いつも、雨
でも領子(えりこ)は、首を傾げた。

「わたくしより、お兄ちゃんが、たくましくなられたんだと思うけど……。」

「……なるほど。」

と、言うよりは……比較対象がもう少し成熟した女の子だから……だろう。


さすがにそんなことを領子に言えるわけがない。




要人(かなと)は、上がり框(かまち)にそっと領子を座らせてから、帽子の花にそっと触れた。

ニコッと領子が笑った。

「かわいいでしょう?」

「……うん。かわいい。……けど、領子さまには地味かもしれませんね。」

要人がそう言うと、領子は首を傾げた。

「そう?……じゃあ、今度は、派手なお花をお土産にくださいね。ひまわりとか?薔薇とか?」

「……え……。」


もしかして……その花は……かつて、俺が「お土産」と称して持ち帰ってきたモノなのか。

目を丸くして、ドライフラワーを凝視している要人に、領子はニッコリと笑って見せた。



……やっぱり、言わないとわかってくださらないものなのね。

とっくに気づいてらっしゃるかと思っていたわ。


領子は得意げに胸を張った。

「以前は、普通に釣ってドライフラワーにするか、押し花にすることしかできなかったんですけど……こちらはシリカゲルで乾燥させたものですので、色も綺麗でしょ?最近はレジンで固めることもありますのよ。」



シリカゲルって、お菓子の袋に入ってる乾燥剤か?

レジンって何だ?

……てゆーか……おっぱい……ぺったんこだな……まだ……。


そんな目で要人に見られているとはつゆ知らず、領子は上機嫌だった。




要人が「お土産」を領子だけにくれるようになってから、3年以上が過ぎた。

とは言っても、さきほど要人が言ったように、最近は頻度が激減している。

それでも、折に触れ、花やお菓子をそっと手渡してくれる。


さすがにお菓子は食べてしまうけれど……包装材やお花は、もはや領子のコレクションとなっている。

……東京の自宅の領子の部屋は、小さなドライフラワーだらけだ。

ねえやには掃除が大変だと不評だが、領子は、花と要人の心に囲まれているだけで幸せな気分になる。



お兄ちゃん……とは呼んでいても、要人は領子にとっては、唯一無二の大好きなヒト。



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