いつも、雨
……まずは、恭匡が1週間、知己の経営する病院に入り浸っていたことが記されていた。
由未が、2学期が始まって早々、おたふく風邪で1週間学校を休んだという話は、恭匡から竹原家に電話で伝えられていたが……入院したとは聞いていない。
まさか……。
逸る心を抑えて、原は書類をめくった。
そこにはどうやって入手したのか、カルテや請求書のコピーが添付されていた。
問診表にもカルテにも、不自然なほどに余計なことは何も書かれていなかった。
事実が漏れないように、証拠が残らないようにとの配慮だろう。
しかし、続く書類には、実際に由未に投与された薬がリストアップされていた。
ご丁寧に、薬品の説明を付けて、報告者は、由未の症状と状況を推測し、伝えて来た。
……性的暴行を受け、数日間意識が混濁していたようだ……と。
無意識に、原は、報告書を真っぷたつに引き裂いてしまっていた。
もう秋だというのに、嫌な汗が身体をつたい落ち、身体が……唇が、ふるふると震えた。
猫っかわいがりしたことは一度もないが、義人も由未も、生まれる前から守り、仕えてきた、大切な大切なお子達だった。
髪の毛一筋ほどの傷も付けたくないのに……よりによって、レイプされただと?
……ヤッた奴ら……ブッ殺してやる……。
比喩ではない。
昔取った杵柄、だ。
原は、破ってしまった報告書をそのまま無造作に封筒に突っ込み、元は叔父貴と呼んでいた井上の運転で要人を追った。
話を聞いた要人は、さすがに眉をひそめたが……原から報告書をひったくるように受け取ると、破れた紙面を合わせながら、最後まで読み……天を仰いだ。
その目には涙が浮かんでいた。
「……恭匡さまは……それでも、あれを……由未を……お見捨てにはならないのか……。」
そっちかよ!
この期に及んで、傷ついた娘より、天花寺の若さまかよっ!
……要人の天花寺家に対する思い入れの強さは、身に沁みてよくわかっているつもりだったが……さすがに、原は鼻白んだ。
しかし、実際的に、原が復讐にしゃしゃり出る隙はなかった。
恭匡は、由未の事件を完璧に隠蔽し、犯行者たちの余罪を調べ上げ、そちらだけを世に公表し、法的に糾弾させ、社会的に葬り去った。
……まあ……社長があれだけ心酔する男なら、これくらいの処理能力はあってしかるべきだろう。
由未が、2学期が始まって早々、おたふく風邪で1週間学校を休んだという話は、恭匡から竹原家に電話で伝えられていたが……入院したとは聞いていない。
まさか……。
逸る心を抑えて、原は書類をめくった。
そこにはどうやって入手したのか、カルテや請求書のコピーが添付されていた。
問診表にもカルテにも、不自然なほどに余計なことは何も書かれていなかった。
事実が漏れないように、証拠が残らないようにとの配慮だろう。
しかし、続く書類には、実際に由未に投与された薬がリストアップされていた。
ご丁寧に、薬品の説明を付けて、報告者は、由未の症状と状況を推測し、伝えて来た。
……性的暴行を受け、数日間意識が混濁していたようだ……と。
無意識に、原は、報告書を真っぷたつに引き裂いてしまっていた。
もう秋だというのに、嫌な汗が身体をつたい落ち、身体が……唇が、ふるふると震えた。
猫っかわいがりしたことは一度もないが、義人も由未も、生まれる前から守り、仕えてきた、大切な大切なお子達だった。
髪の毛一筋ほどの傷も付けたくないのに……よりによって、レイプされただと?
……ヤッた奴ら……ブッ殺してやる……。
比喩ではない。
昔取った杵柄、だ。
原は、破ってしまった報告書をそのまま無造作に封筒に突っ込み、元は叔父貴と呼んでいた井上の運転で要人を追った。
話を聞いた要人は、さすがに眉をひそめたが……原から報告書をひったくるように受け取ると、破れた紙面を合わせながら、最後まで読み……天を仰いだ。
その目には涙が浮かんでいた。
「……恭匡さまは……それでも、あれを……由未を……お見捨てにはならないのか……。」
そっちかよ!
この期に及んで、傷ついた娘より、天花寺の若さまかよっ!
……要人の天花寺家に対する思い入れの強さは、身に沁みてよくわかっているつもりだったが……さすがに、原は鼻白んだ。
しかし、実際的に、原が復讐にしゃしゃり出る隙はなかった。
恭匡は、由未の事件を完璧に隠蔽し、犯行者たちの余罪を調べ上げ、そちらだけを世に公表し、法的に糾弾させ、社会的に葬り去った。
……まあ……社長があれだけ心酔する男なら、これくらいの処理能力はあってしかるべきだろう。