いつも、雨
「お人形は文句を言いません。お人形は社会的に役に立つためのボランティア活動なんかいたしません。……俺は、どんな環境でも、自分で考えて、少しでも幸せになろうと一生懸命がんばっている、あなたが愛しくてたまらないのですよ。……俺が最優先じゃなくって、……あなたが、百合子さまと一夫くんを一番に考えて、2人が幸せに快適に暮らせるように、心を配っているところも……、そりゃあくやしいですが、そんなあなたを尊敬し、憧憬し、とても、愛してます。」


嫌味じゃなく、本音らしい。


……やっぱり変なヒトだわ……竹原……。


でも、言わんとすることは、わかる気がした。




与えられた幸せに飽き足らず不平不満をこぼす人間には魅力はない。

要人の妻の佐那子も、マイペースながら、できることを夢中でがんばり、いつも忙しそうだったり、楽しそうだったりしている。

子供たちもまた、誰に強要されたわけでもないのに、将来の約束された名門私立学園の大学進学ではなく、わざわざ超一流難関国立大学の受験を決めた。



……百合子は、要人を大学まで追いかけることは諦めて、系列の大学に進むことになっているけれど……。





「……わたくしのしていることなんて……とても小さな、つまらないことですわ。」

そうつぶやいた領子は、なんとなくしょんぼりして見えた。



要人は、首を横に振った。

「そう卑屈なことを、おっしゃらないでください。傲慢なのも困りますが。……百合子さまは、今はまだ一生懸命が空回りすることが多いようですが、いじらしい、かわいらしいおかたです。俺は、何も心配していません。そのまんまの百合子さまを愛し、受け入れ、大切に慈しんでくれる男と、巡り会いますよ。そういうものです。」



……あの義人が、実の妹とわかってからも、ずるずると関係を断ち切れなかったのだ。

百合子には、よほど、離れがたい魅力があるのだろう。

肌が合う、以上の魅力が……。




卑猥な想像を頭の中で打ち消して、要人は目の前の領子を貪ることに集中した。


強制的に快楽を掻き立てられて、領子もまた要人だけにすがりついた。
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