いつも、雨
「ご報告があります。」
いっぽう、領子が甥の恭匡から結婚の報告を受けたのは、2月。
雪のちらつく寒い日のお昼前、恭匡は初めて叔母の領子の自宅を訪問した。
さすがに電話で済ますことではなかったらしい。
「まあ。恭匡さま!お一人ですか?……奥さま!領子さま!恭匡さまが!」
玄関先でキタさんが騒ぐのを聞いて、領子も慌てて出迎えた。
「ごきげんよう、おばさま。」
ニコッ……と、恭匡は、子供の頃のような笑顔を見せた。
「……ごきげんよう。恭匡さん。」
健康そのものの艶やかな頬に、甥がいかに充実した食生活を送っているかを垣間見て、領子はそれ以上何も言えなくなってしまった。
……幸せなのね……。
それだけで、もう、充分だった。
領子は、恭匡の「報告」を、全面的に、笑顔で受け入れる決意をした。
しかし、それは、領子の予想とは少し違った。
……いや、「報告」の内容は、想定通り、由未との結婚だった。
しかし、その後に続いたのは、たった独りの甥から、もっとも血の濃い叔母に対するお願い事としては、いささか眉をひそめる内容だった。
「早くに両親を亡くした若輩の身では、何か心もとなく……結納のお品のご相談のみならず、婚礼全般、おばさまに教えていただき、助けていただけたら、と、思っています。……ですが、結納の臨席はご遠慮ください。」
……え?
領子は、一瞬、甥が何を言ってるかわからなくなった。
どういう意味?
黙って固まった領子に、恭匡はやわらかい言葉を付け足した。
「婚礼の式典では、おばさまだけでなく、一夫さんにも、私の親代わりとしてご挨拶いただくことになると思います。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。日取りは確定次第またご報告に上がりますが、11月に日比谷を押さえてますので、たぶんそれで決まるかとは思いますが。」
……親代わり……。
じんわりと、心に温度が戻ってきた。
領子は、少しほほえんだ。
「迷惑だなんて……わたくしも、主人も、少しでも、あなたの力になりたいのですよ、恭匡さん。何でも、させていただきますわ。結納だって、東京から来られるのは大変でしょう?実家だと思って、どうぞ、こちらにお泊まりになってください。」
いっぽう、領子が甥の恭匡から結婚の報告を受けたのは、2月。
雪のちらつく寒い日のお昼前、恭匡は初めて叔母の領子の自宅を訪問した。
さすがに電話で済ますことではなかったらしい。
「まあ。恭匡さま!お一人ですか?……奥さま!領子さま!恭匡さまが!」
玄関先でキタさんが騒ぐのを聞いて、領子も慌てて出迎えた。
「ごきげんよう、おばさま。」
ニコッ……と、恭匡は、子供の頃のような笑顔を見せた。
「……ごきげんよう。恭匡さん。」
健康そのものの艶やかな頬に、甥がいかに充実した食生活を送っているかを垣間見て、領子はそれ以上何も言えなくなってしまった。
……幸せなのね……。
それだけで、もう、充分だった。
領子は、恭匡の「報告」を、全面的に、笑顔で受け入れる決意をした。
しかし、それは、領子の予想とは少し違った。
……いや、「報告」の内容は、想定通り、由未との結婚だった。
しかし、その後に続いたのは、たった独りの甥から、もっとも血の濃い叔母に対するお願い事としては、いささか眉をひそめる内容だった。
「早くに両親を亡くした若輩の身では、何か心もとなく……結納のお品のご相談のみならず、婚礼全般、おばさまに教えていただき、助けていただけたら、と、思っています。……ですが、結納の臨席はご遠慮ください。」
……え?
領子は、一瞬、甥が何を言ってるかわからなくなった。
どういう意味?
黙って固まった領子に、恭匡はやわらかい言葉を付け足した。
「婚礼の式典では、おばさまだけでなく、一夫さんにも、私の親代わりとしてご挨拶いただくことになると思います。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。日取りは確定次第またご報告に上がりますが、11月に日比谷を押さえてますので、たぶんそれで決まるかとは思いますが。」
……親代わり……。
じんわりと、心に温度が戻ってきた。
領子は、少しほほえんだ。
「迷惑だなんて……わたくしも、主人も、少しでも、あなたの力になりたいのですよ、恭匡さん。何でも、させていただきますわ。結納だって、東京から来られるのは大変でしょう?実家だと思って、どうぞ、こちらにお泊まりになってください。」