いつも、雨
打ちひしがれた領子は、まるで少女のようにか弱く見えた。
言い過ぎただろうか……。
……いや……今後のために自重していただかないと。
恭匡は、意識してクールに言い放った。
「僕は由未ちゃんを天花寺家に迎えますが、橘のおばさまと竹原家が親戚付き合いをする必要は一切ありませんので。どうかお気遣いなく。」
「……そうね。……仰るとおりですわ。……わかりました。」
領子は、力なくそう言った。
畳の目が、やけに目に付いた。
自分がそこに居るだけで、傷付くひとがいる。
改めて領子は、要人との関係の罪深さを思い知った。
何の罪滅ぼしにもならないけれど……、領子は甥の結婚準備に献身的に関わった。
決して表には出ず、縁の下の力持ちに徹した。
******************************
3月。
要人の娘の由未は、志望大学に合格した。
発表の翌日、早速恭匡は父の恭風が特に昵懇だった旧宮家の老当主を正式な仲人として、竹原家へ送り込んだ。
そして、その週のうちに、恭匡は由未と共に、要人と佐奈子に改めて挨拶に出向いた。
折しも、その日は、希和子の小学校の卒業式だった……。
子供たちの、大きな変節のとき。
今さらマイホームパパになった要人も、娘の大学進学と甥の結婚準備に追われる領子も、何となく家族と過ごす時間が増えていた。
恭匡から由未への結納の品々は、領子が選び、差配した。
結納の一週間前には、京都からわざわざ一旦、東京の恭匡の住居ヘと、結納のお品が送られた。
目録や表書きは、さすがに全て、恭匡が手づから書いた。
翌日の大安吉日、領子は娘の百合子を伴って、東京の天花寺邸を訪れた。
この日は、結納のお品を竹原家に納める前に、天花寺の親類にお披露目する日。
……領子が選んだのだから、わざわざ足を運ぶ必要はないのだが、せっかくの機会だ。
娘の百合子が、少しでも結婚に前向きになってくれることを願う気持ちもあった。
しかし、百合子もまた、この結婚に心を持て余していた。
もちろんそれはそのまま由未に対する複雑な感情を反映している。
好きとか嫌いとか、そういう次元の話ではない。
初対面の印象……というよりも、幼少期の自分の傲慢さが恥かしくて、苦手意識が消えない。
言い過ぎただろうか……。
……いや……今後のために自重していただかないと。
恭匡は、意識してクールに言い放った。
「僕は由未ちゃんを天花寺家に迎えますが、橘のおばさまと竹原家が親戚付き合いをする必要は一切ありませんので。どうかお気遣いなく。」
「……そうね。……仰るとおりですわ。……わかりました。」
領子は、力なくそう言った。
畳の目が、やけに目に付いた。
自分がそこに居るだけで、傷付くひとがいる。
改めて領子は、要人との関係の罪深さを思い知った。
何の罪滅ぼしにもならないけれど……、領子は甥の結婚準備に献身的に関わった。
決して表には出ず、縁の下の力持ちに徹した。
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3月。
要人の娘の由未は、志望大学に合格した。
発表の翌日、早速恭匡は父の恭風が特に昵懇だった旧宮家の老当主を正式な仲人として、竹原家へ送り込んだ。
そして、その週のうちに、恭匡は由未と共に、要人と佐奈子に改めて挨拶に出向いた。
折しも、その日は、希和子の小学校の卒業式だった……。
子供たちの、大きな変節のとき。
今さらマイホームパパになった要人も、娘の大学進学と甥の結婚準備に追われる領子も、何となく家族と過ごす時間が増えていた。
恭匡から由未への結納の品々は、領子が選び、差配した。
結納の一週間前には、京都からわざわざ一旦、東京の恭匡の住居ヘと、結納のお品が送られた。
目録や表書きは、さすがに全て、恭匡が手づから書いた。
翌日の大安吉日、領子は娘の百合子を伴って、東京の天花寺邸を訪れた。
この日は、結納のお品を竹原家に納める前に、天花寺の親類にお披露目する日。
……領子が選んだのだから、わざわざ足を運ぶ必要はないのだが、せっかくの機会だ。
娘の百合子が、少しでも結婚に前向きになってくれることを願う気持ちもあった。
しかし、百合子もまた、この結婚に心を持て余していた。
もちろんそれはそのまま由未に対する複雑な感情を反映している。
好きとか嫌いとか、そういう次元の話ではない。
初対面の印象……というよりも、幼少期の自分の傲慢さが恥かしくて、苦手意識が消えない。